バレット食道とはABOUT
胃酸が繰り返し食道に逆流することで、扁平上皮が円柱上皮に置き換わる状態を指します。
置き換わった粘膜は長さがあるほどバレット腺がんに罹るリスクが高まります。(LSBEの場合は年率1.2%で腺がん発生)置き換わったバレット粘膜の長さが3センチ未満の場合はSSBE(Short Segment Barrett‘s Esophagus)で、3センチ以上はLSBE(Long Segment Barrett’s Esophagus)といいます。
欧米人の食道がんの多くはバレット腺がんであるとされていますが、日本人のバレット食道は99%がSSBEに分類され、バレット腺がんに罹患する可能性は低いです。
バレット腺がんの割合は約7%ですが、近年の食生活の変化により上昇傾向にあるため、注意する必要があります。
バレット食道の原因CAUSE
逆流性食道炎がバレット食道を引き起こす主な原因であり、胃の内容物が食道に逆流することで起こります。
逆流性食道炎は、食道に「びらん」と呼ばれる粘膜のただれ、粘膜が深くえぐれたような「潰瘍」が発生し、修復・治癒の段階で扁平上皮が円柱上皮に置き換わることをバレット食道といいます。
バレット食道の検査・診断SCREENING
逆流性食道炎は医師による問診で診断が可能なものがありますが、バレット食道が発生しているかどうか調べるためには胃カメラをする必要があります。胸焼けや逆流性食道炎の症状がある方は胃カメラを受け、検査でバレット食道と診断された場合には定期的に胃カメラを受けることをお勧めします。バレット食道腺がんは、がんが粘膜内で留まった状態で早期発見できれば胃カメラで治療が可能であり、胃がんや食道扁平上皮がんに準じた治療を行います。
バレット食道と診断された場合には心配し過ぎることなく、年に1回程定期的に胃カメラを受けて経過観察することが大切です。
当院の胃カメラ
胃、食道、十二指腸などの上部消化管全域の粘膜を、カメラが搭載されたファイバースコープによって緻密に映し出し、粘膜の状態を直接観察します。
観察時に発見した疑わしい組織は、一部を切除して検査に出します。
当院の胃カメラは、日本消化器内視鏡学会が認定した消化器内視鏡専門医が行っています。検査、検査結果説明、治療内容を患者様がわかりやすく丁寧にご説明することを心がけています。
どんな些細なことでも不安やご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
バレット食道の治療TREATMENT
現段階で有効な治療法がなく、原因となる逆流性食道炎の症状緩和のため、内服薬の服用と生活習慣の改善を行います。
食生活の改善は、脂肪分、タンパク質の過剰摂取、刺激物、酸味の強いものは胸焼けを悪化させるため、摂取量に注意が必要です。早食いや大食いにも気を使い、腹八分目で留めます。
カフェイン、アルコールは胃酸の分泌を増加させるとともに、アルコールは胃の噴門部にある筋肉弛緩作用があるため過剰摂取を控えましょう。
また、食事後すぐ横になると胃の内容物が逆流するため、就寝まで時間を空けるようにしましょう。
適度な運動で肥満の解消、食生活の改善、正しい姿勢を心がけましょう。生活習慣の改善だけでは完治は難しく、多くは薬物療法を併せます。
胃酸の分泌を抑える薬と、消化管運動を促進させる薬を使用する場合もあります。