食道がんとはABOUT
食道がんは、食道粘膜の表面からどこにでも同時に複数できることのある疾患です。日本人の場合、約半数は食道中央付近と食道下部に発生するとされています。
食道壁の粘膜内に留まるものを早期食道がん、粘膜下層まで留まるものを表在食道がん、深層までしか及んでいないものは進行食道がんといいます。
食道がんが大きく、深層へと広がり、気管や大動脈などの周辺臓器まで及ぶことを浸潤といい、がんが血液やリンパ液に乗って食道外の肺や肝臓など他の臓器へ移ることを転移といいます。
食道がんの原因CAUSE
日本人が多く罹患している扁平上皮がんは食道がんの主な原因である飲酒と喫煙と強い繋がりがあります。
アセトアルデヒドは、飲酒をきっかけに体内でできる発がん性物質であり、分解酵素が生まれつき少ない人は、飲酒によって食道がんにかかるリスクが高まります。飲酒と喫煙を両方嗜む方はより一層リスクが高まり、熱いものを冷まさずに食べることが多い方もリスクを高めることがわかっています。
食道がんの症状SYMPTOMS
初期にほとんど自覚症状がありません。進行すると、飲食物がつかえる感じ、飲食時の違和感、咳、声のかすれ、胸や背中の痛み、体重減少が起こります。肺や心臓、喉の病気でも似た症状が出ますが、食道を検査することも大切です。
早期発見のため、検診や人間ドックで胃カメラ（上部内視鏡検査）、バリウム検査を受けましょう。
胸の違和感
熱い食べ物・飲み物を飲み込んだ時、胸に染みる感じや、胸の奥がチクチク痛むことがあります。
症状が一時的で消失することがありますが、早期発見のために注意が必要です。
飲食物のつかえ感、体重減少
がんの進行によって、食道内が狭くなって飲食物がつかえるようになり、柔らかい食べ物中心で硬い食べ物が食道を通らなくなります。
次第に水分や唾も通らなくなるほど食道が塞がれ、食事量、体重の減少に繋がります。
胸や背中の痛み、咳、声のかすれ
がんが進行するにつれて、大動脈・肺・背骨などの周辺臓器に広がり、胸痛や背部痛を感じるようになります。
また、気管や気管支までがんが及ぶと刺激により咳を伴うこともあり、声帯を調節する神経が侵されると声のかすれが見られます。
食道がんの検査SCREENING
食道がんを診断する上で、胃カメラ（上部内視鏡検査）とバリウム検査が有効です。
胃カメラでは、疑わしい病変を採取し、生検後に組織検査を行います。
なお、早期の食道がんは病変の凹凸では発見が難しく、色の変化で発見する必要があるため、色の識別ができないバリウム検査では発見が困難とされています。飲酒や喫煙など食道がんのリスクが高い方は、胃カメラをお勧めします。
当院では、最新鋭の内視鏡システム（胃カメラ）を導入しております。安心してご受診ください。
食道がんの治療TREATMENT
早期の食道がんは、胃カメラの検査中に切除することが可能であり、通常の外来にて処置を行っていただくことが可能です。
一方で進行食道がんの場合は、手術や化学療法、放射線治療を組み合わせた集学的治療が必要となり、精神的・肉体的に負担が大きく、入院による長い治療期間を要します。
当院では、入院が必要となる食道がんを見つけた場合、連携する高度医療機関をご紹介させていただきます。
発症部位に関わらず、がんは早期発見がとても大切です。症状の有無に関わらず、定期的に胃カメラを受けるようにしましょう。